看護師の歴史

看護師という職業は、いつから誕生したのでしょうか。看護師の起源は中世ヨーロッパで、病人を教会へ集め、修道女が世話をしたのが始まりだと言われています。

現在の看護師の土台を築いたのは、言わずと知れたフロレンス・ナイチンゲールです。教会が経営する看護学校が誕生し、ナイチンゲールも教会の看護学校で学んだのです。1860年にはナイチンゲールの名前の付く看護学校が誕生し、世界中に名前が知れ渡ることになります。

ナイチンゲールは近代看護教育の生みの親と言われ、「白衣の天使」や「クリミアの天使」、「ランプの貴婦人」など、数々の代名詞で呼ばれており、彼女の伝記は、今も世界中の人々に読み継がれています。


ナイチンゲールはイギリスの裕福な家庭に生まれ数々の教育を受けて育ちました。
そんな彼女が看護の道を志すようになったきっかけは、姉が病に倒れた事でした。姉の看病をするために看護の勉強を始めた彼女、後にイギリスの病院に就職することになります。
しかし、職場の実態はかなり劣悪なものでした。看護の知識の無い者が看護師として働いている現状。それを憂いたナイチンゲールは専門教育を受けた看護師の必要性を世に訴え始めます。

1854年にクリミア戦争には従軍。
それまで看護不足による死亡者が多いとされてきた中で、それが不衛生による感染死亡者であると、院内の衛生環境改善に尽力し死亡者を激減させることで証明しました。
その後、看護学校を設立したり、病院の状況分析をして統計資料を作成するなどして看護現場の環境改善や専門性の向上に力を注ぎ、看護分野で多数の著書を残しました。

このナイチンゲールが確立していった看護精神は、やがて日本にも伝わります。海外では早くから看護師という制度が導入されていたのですが、日本では明治時代頃に入ってきました。その頃は女性の職というイメージが強く、実際に看護婦と呼ばれていました。
日本では1886年に国内で最初の看護学校(看護婦養成所)が設立され、看護の専門家の養成が始まりました。それからしばらくして1948年(昭和23年)、保健師助産師看護師法が制定され、この時にようやく日本で「看護師」という職業が確立されたのです。
つまり、1948年以前は実質的な看護師免許は存在していなかったことになります。医師の指示の元、医療の補助を行っていたと思いますが、現代では考えられないような看護が行われていたことと思います。

その後1950年に第1回目の看護師国家試験が行われ、翌1951年に看護師の補佐をするための准看護師制度が制定されました。
1950年代には完全看護制度というものがありました。これは、入院患者の世話を家族や付添人が行うのではなく、看護師が全て行うといった目的で制定され、「看護は看護師の手で」というスローガンまで掲げられていました。しかし、実際にはそれが実現するまでには至らず、看護師に数もそれほどまでには多くありませんでした。また、看護師はあくまでも医療上の目的によって身のまわりの世話、看護を行うと言う仕事をしているので、身のまわりの世話全てを行うという完全看護とは少し違った解釈になります。
そのため、1958年には完全看護制度から基準看護制度へと改められることになったのでした。

現在では家族が看護師の代わりとして身のまわりの世話を行うことはほとんどないと言えます。これは、1994年に新看護体制が敷かれたためであり、1997年には付添看護が全て禁止とされました。1950年に掲げられたスローガンはこの年になってようやく実現されることになりました。

以前は、女性は「看護婦」男性は「看護士」と呼ばれていましたが、2002年3月の法改正に伴い、男女区別なく「看護師」と呼ばれるようになりました。

以前は病院が看護師の職場とされてきましたが、現在では医療の多様化から、様々な場所での看護師の活躍が期待されています。
特に高齢化社会を迎えた現在、介護施設や訪問看護など、高齢者を対象とした医療機関や施設での求人が増えており、看護の知識に併せて介護知識も求められるようになってきています。

2011年には100回目を迎える看護師国家試験ですが、ここ数年は毎年の合格者が45,000人を超えるほど人気の職業となっています。
看護学校も養成所から大学まで様々な形態に分かれて全国に広がっており、看護師への道はこれまで以上に大きく開かれているのです。

新看護体制は現在の看護制度の大元にもなりますが、看護師の成り立ちや、看護師がどのような仕事を行っているのかということがきちんと書かれています。また、診療報酬等の基準についても書かれていて、これによって患者はよい看護を受けられるかどうかというのが分かるようになっているのです。

現在は看護制度の幅も広がり、訪問看護制度や福祉医療制度など様々な制度の元となるようになりました。訪問看護制度は、看護師が介護を必要とする方の自宅を訪れ、医療行為を行うことが規定されているのですが、訪問看護には必ず医師の許可が必要となるため、看護制度の重要さがうかがえる一面となっています。

海外では医師と看護師は同等の立場にあると言えます。特定の治療であれば看護師の判断によって行えるという制度も確立されているのです。現在の日本ではまだ古い考えが残っているので、先進国に負けない医療の進化を確立するためにも、看護師免許の改善や看護師の待遇などを見直していく必要があると思います。

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